心はガラス細工のよう〜何を守るよりも、自分の心を守れ。そこに命の源がある。

▶︎ 主を思う・・

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「心はガラス細工(ざいく)のよう」という言葉があります。これは、かつて私の上司で、アメリカの支社の社長だった本田さんという方から聞いた言葉です。私はこの言葉を聞くと、彼のことを思いだすのであります。
ちょうど景気が悪くなってきた頃で、私が働いていた会社がアメリカから撤退することになり、ある人の紹介で、この会社に面接に来たのです。
でも、その会社は、長年赤字つづきで、多くの累積赤字を抱えていたのでした。私は、そこの副社長で経理担当の人の面接を受けたのですが、彼は、その会社の状態がいかに困難であるかという話をされ、資料をも見せていただきました。
要は、あまりいい給料が出せないという話であります。面接の時にこんな話をするところなどありません。自分は、他に一社、そこの社長から、私を雇いたいという話しがありましたので、早々に引き上げようと思っていた時、ドアががらっと開き、大声で入ってきた人がいました。
その人が本田さんでした。社長に赴任したばかりでした。彼は、私たちの話をとなりで聞いていたのでしょうか、“一緒にやろう。私たちで、この会社を立ちなおしてみせようじゃないか”というのでした。そして、「まだ、工場を見ていないだろう”“これから工場をひとまわりしよう」と私をひっぱって行ったのです。
工場を見てまわり、説明をうけた後、私は、“悪いけど、給料は最低これだけほしい”と率直に言いました。「これ以下では働けない」といったのです。・・・本田さんは、それは、俺が出させるから一緒にやろうと言ったのです。(おかげで)それから、ずーっと副社長とはうまくいかなくなりました。
でも、本当に、本田さんと一緒に会社を再建したのでした。死にものぐるいに働いて、数年後、会社の累積赤字を清算し、黒字会社にしたのであります。
ちなみに、本田さんは、今までの社長と違い、ゴルフなどしない人でした。ゴルフの後で、日本食のレストランに、仕事をしている私を呼びつけるというような人じゃない。・・・仕事以外に趣味が何もない人でした。私と同じです。
日本の本社では、本田さんの傍若無人(ぼうじゃくぶじん)さ、人前をはばからない態度や、学歴のないことなどで、あまり尊敬されなかったのですが、彼の実績は評価しないわけにはいけなかったのであります。彼は、いつもどうすることも出来ないような所に遣わされ、(苦労して)そこを再建していくということをしてきたのです。
私が遅くまで働いていた時、私のオフィスに本田さんが入ってきて、(笑いながら)「まだ、働いているのか、もう帰りなさい」と大きな声で言うのです。彼は、ちょっと“粗野”なところがあって、いつも笑いながら大きな声で指示をする人でした。
私は彼に、かわいがられましたし、私も彼の率直で、いつも常識を超えているけど、でも、実に的を得た指示をする方だと尊敬していました。そんな彼ですから、夕方遅く、人のオフィスにノックもせずに入ってくるのです。
彼は、(仕事をしている私に関係なく)大声で話しつづけました。私は適当に相槌(あいずち)をうちながら、仕事をしつづけていたのですが、、、その頃、彼の日本出張が多くなっているので、そのことを聞きました。
何か日本で新しいことでもはじめたのかと思ったのであります。・・・そうしましたら、仕事じゃなくて、個人的な私用で行っていたというのであります。彼はめったに私用で帰るという人ではありませんでした。
彼には、優秀な娘さんがふたり居まして、ふたりとも東京大学、“東大”に入ったのでした。そして、返さなくてもいい奨学金さえ、もらっていたのでした。彼の自慢の娘さんたちです。ところが、その一人で、医学部に行っていた、お姉さんが行方不明になったのだというのです。
それで、本田さんは、いろいろなところにあたってみて、娘さんの所在を調べていたのですが、なかなかわからなかったそうです。ようやく、取引銀行から連絡があって、彼女が仕事をしながらひとり暮らしをしていることをつきとめたのであります。
本田さんは、奥さんとふたり、彼女のアパートの前の電信柱の影に隠れて、娘さんの帰りを何時間も待ちました。そして、帰ってきた娘さんに、本田さんと奥さんが声をかけたら、びっくりした様子だったけど、自分のアパートに入れてくれたそうです。
ちゃぶ台も何もない殺風景なアパートだったそうです。さっそくちゃぶ台や必要なものを買い揃えてあげ、一緒に食事をしたそうです。
本田さんが“どうして何も言わないで、こんなことをするんだ”と言ったら、「・・・相談したくても、お父さんは、いつも仕事で家に居なかったじゃないの」と言われたのだそうです。
急にだまってしまった本田さんに、、、 私は「・・・それで、どうして学校をやめたのか、わかりましたか?」と言うと、
本田さんは、からからっと笑いながら 「わからないんだ。“心はガラス細工のよう”って言うだろう。壊れたら、もとにもどらない。」
この言葉で、本田さんがどうして私に「早く帰れ」なんて言ったのかわかったような気がしました。“家族を大切にしなさい”と言ったのだろうと思いました。
“心は、ガラス細工のよう”・・・”心を大切にしなさい“と言ったのです。 「何を守るよりも、自分の心を守れ。そこに命の源がある。(旧約聖書、箴言3章23節)」であります。
ロバート・イ



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Posted by SANBI.us