ダンプスターを捜せ、そうすれば、見出すであろう―失くしたリテーナー(保定装置)

▶︎ 命の水の泉から

この大きなダンプスター.(ゴミ箱:Dumpster)を見ると、昔この中に息子を入れて、失くしたリテーナー(ワイヤーでできた歯を矯正する歯列保持具)を探させた日のことを思い出します。

ランチの時に捨ててしまったリテーナー


その日は学校の後、かなり遠くの眼医者さんに息子を連れて行く日でした。彼が4年生の時(30年も前のこと)だったと思います。クラスから出て来た息子は「ランチの時にとりはずしてナプキンに包んだリテーナーランチの入っていた紙袋を捨てる時に入れて捨てちゃった」と大したことではないように言うではありませんか。

「エッ、あれは200ドルくらいするのに、どうして探さなかったの?」

すぐ眼医者のアポイントメントがあるので、一応小学校の用務員のジョーに会い、後で探しに帰って来ると伝えました。もうその時には学校中のゴミ袋はこの写真と同じような青い大きなダンプスター.に入れてしまったということでした。

車の中で「自分のお金で弁償するよ」と平然として言う息子に私は腹が立ちました。

「ママがなぜ怒っているか、知ってる? 失くしたことじゃなくて、失くしても平気で全力を尽くして探そうとしないあなたの態度に怒っているのよ」

と詰問したところ、息子は息子なりにその旨、受け持ちの先生に許可を得て、授業に出るのを遅れても良いという許可をもらい、ジョーに報告して、ゴミ箱の中を探したけれど、見つけられなかったと言うのです。

ダンプスターの中を探す

眼医者から急いで学校に帰ったのは、もう秋の日が暮れかかったころでした。学校に直通してダンプスター.に向かいました。

頼んでおいたので、ジョーが、ダンプスター.の中から、ランチルームのゴミ箱に入っていたゴミ袋を外に取り出しておいてくれてそれは、5袋ありました。

息子と二人でひとつひとつの袋の中身のゴミを、新しいゴミ袋(ジョーが用意しておいてくれました)に移し替えて行きました。

最後の一袋になりました。「神様、これだけが望みです」

でもありませんでした。

この5つの袋以外のランチルームのゴミはすでに息子がひとりで昼間見て、それは袋に入れずにダンプスターに入れたわけです。

それでは、バラバラになっているゴミを調べようと、私の胸くらいまでの高さのダンプスター.の中を搔き分けてみようと思いました。

中にある袋を取り出すのは大変です。私は息子を抱き上げて、その中に入れました。クラスルームのゴミの中身は紙類なので、すぐ区別がつきます。袋が破けてゴミだらけです。中にいる息子にゴミを掻き分けさせましたが、ありません。

もう真っ暗です。やるだけのことはやったので、仕方がありません。帰ることにしました。きれい好きな息子はゴミから解放されてほっとしたようですが、私はすっきりしません。

もう一度、息子に訊くと、ランチルームのゴミ箱に捨てたのは確かだと言います。それではあそこにあるはずです。寝る時、もう一回、クラスルームからのゴミ袋を全部外に出して、ダンプスター.の中を徹底的に探してみたらという気がしました。自分を納得させたくて、翌朝、5時に起きました。

小道具の椅子2脚とゴミ袋、手袋を整えて、日の出を待ちました。6時になっても日は出て来ません。懐中電灯を持って学校に向かいました。

椅子を使って背の高いダンプスター.の中から、ほとんどのゴミ袋を外に出しました。ダンプスター.の中のバラバラになったゴミを調べましたが、ありません。底から、ランチルームからのような食べ物の残りが入った袋が出て来ましたが、その中にもありませんでした。もう7時近くになりました。かなりの量の出した袋をダンプスター.に戻しました。

その時、ダンプスター.の中の散らばっているゴミをもう一度だけ見たい気が起こり、今度は私がダンプスター.の中に入り、手でゴミを何回か鋤いてみました。その前の日に息子が入った所です。中に入ってみると、大きなお風呂桶くらいの大きさです。

「神様、奇跡を見せてください」

その時、私が、左手で掻き分けた所に、今の今まで見えなかったブルーの、まさに我が息子のリテイナーがあるではありませんか。

「神様、あなたが生きていらっしゃることがわかりました。ああ、神様、神様」

私は畏れでダンプスター.の中にひざまずきそうでした。しかも前の日は息子が、その日は私が踏み潰す可能性もあったわけですが、そのリテイナーはそのままの形を保っていたのです。

主のみ名はほむべきかな。

でも後で考えれば、息子を叩き起こして一緒に連れて行くべきでした。    

竹下弘美

      
                                                  


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