1998年6月14日、ワールドカップに初めて出場した日本代表がアルゼンチンと対戦した記念すべき日です。
その時、私達は沖永良部にいました。正確に言いますと、その日が私達夫婦にとって最後の沖永良部の晩だったのです。このアルゼンチンとの闘いをラジオで聞きながら、私達は島を発つ荷造りをしていました。
夜半からバケツをひっくり返したような南島の豪雨となりました。なかなか荷造りが終わらず、それでも一、二時間は眠ったでしょうか、教会の玄関ドアが開く音で目が覚めました。確か夜中の三時頃だったと思います。外はまだどしゃぶりの雨、そんな中、教会の兄弟姉妹が私達を見送りに来てくれたのです。
夜半の港は人がまばらで、停泊している客船の階段を私達のスーツケースを肩に背負ったKさんが、傘などさすことはできませんから、びしょ濡れになって駆け上ってくださいました。そして最後にいつもの笑顔で私達は力強く握手をしました。離れていく港では二年二か月もの間、この島で共に伝道してきた兄弟姉妹がいつまでも手を振り続けてくださいました。その後、船は沖縄に立ち寄り、私達はその一週間後にアメリカに渡ってきたのです。
歴史に残るW杯の初戦であり、バティストゥータにガツンとやられた晩でしたが、そんなことよりも、港の灯に照らされた兄弟姉妹のシルエットばかりが私の心には残っています。
マック