我輩は牧師である。牧師と言っても普通の人間。サッカー日本代表が試合に負ければ言葉を失い、肩を落とすし、美味いラーメンにありつければ妻子を忘れてスープをすする。時にヘラヘラ、時にカッカッ、時に厳かに?、そんな感じで生きている。
こんな私には兄弟姉妹がいなかった。しかし、私には妹がいた。「そ、その言葉に異議あり!あなたの言葉は矛盾している」と思われる方がいるかもしれない。しかし、私には確かに妹がいたのだ。
彼女は四つ足であった。その胴は極端に長くその足はやけに短かった。
まだ小学生の頃、私はポメラニアンという犬が欲しかった。そのフサフサとした毛並みと品のある小さな顔に心惹かれていたのだ(巷ではあの名犬ラッシーが人気者であったゆえ)。そして、そのことを母に訴え続け、数年来の願いがかない、ある日ダンボールに入れられた生後ニヶ月の彼女はやってきた。
その箱からはふさふさした毛並みをしたポメラニアンがでてくるはずだった。しかし、出てきたのはオットセイのような妹だった。本当に「なぜ、オットセイ(巷では彼女のことをダックス・フンドと呼ぶ)がここにいるのか?」と頭の中が一瞬混乱したのを覚えている。実に彼女の毛は黒く短く、オットセイのそれと何ら変わりがなかったのだ。
彼女は「ラブ」と命名された。私と彼女とは気が合い意気投合した。決してスタイルのいい美しい妹ではなかったが、その愛嬌ある姿でいつも彼女は私と一緒にいた。旅行に行く時も寝る時も、彼女はいつも私と一緒だった・・・。
やがて彼女は私を追い抜き大人となった。そして、ベイビーをそのお腹に宿した。しかし、彼女はそのベイビー達の命と引き換えに自分の命を失った。私はかわいい妹をなくした。本当に悲しかった。誰も代わりになることができない、かけがえのない妹を失ったのだから・・・。その最後の時も彼女の愛嬌ある眼差しは変わらなかったのを今でも覚えている。
なぜ、こんなことを書いているかって?今日、街角でミニチュア・ダックスフンドを見かけたのでこの妹を思い出した。最近のダックスは小さく毛並みもフサフサしていて実に品がある。
でも、私にはオットセイのようなラブに勝る妹はいない。彼女との思い出が消えることはない。
我輩は牧師である。こんなラブ・ストーリーを心に秘めた牧師である。
マック
追伸:今あらためて思うのだが、ナゼ私の母は「ポメラニアンとダックスを取り違えてしまったのだろう」という大きな疑問がある。どう考えても両者には大きな違いがあるのだが・・・・。これは、いつか膝を詰めて母に聞かなければならないことである。